名作ファンタジー『十二国記』シリーズ(既刊10冊+新刊4冊)を2020年に初めて読んでみたまとめ

投稿者: | 2020-04-30

書籍情報

『白銀の墟 玄の月』(一~四)

  • 著者:小野不由美
  • 版元:新潮社
  • 発行年:2019年
  • あらすじ:復興の最中、姿をくらました新たな戴の王と麒麟・泰麒の行方を追いながら、戴国の救済にかける人々を描く4冊

積読から一気読みへ

今まで読まずに通り過ぎていたたくさんの作品。
『十二国記シリーズ』に関しても同様で、耳にしたことはあれども一度も読んだことはなくこれまで過ぎていた。2019年夏、ふと入った書店で「18年ぶりの新刊刊行予定!」の文字を見て、興味がわいた。ならばとひとまず1冊購入し最初の数ページだけ読んだはいいが、結局積読状態で月日は過ぎていった。

2020年3月、COVID-19の影響により、自宅にこもる日々の時間潰しとして再び読み始めた。漢字が多めの文体に慣れるまでしばらくかかった。そして気づけば全巻読破に至る。

全巻と言ったら語弊があるかな。まだ『魔性の子』は読んでいない。それ以外の14冊読みました。大人気ファンタジーに納得。これは根強いファンがいるのも分かる。面白い。軽く「面白い」なんて言ったら怒られるかな。とにかく実際に読んでみて、大人気シリーズといわれる所以を理解した。

本来、どの本を手に取るかなんてものはめぐり合わせでもあるし、自分のその時のフィーリングで選んでしまうのがおすすめだとは思う。そう言いつつ、まだ『十二国記』シリーズを読んだことがなくてちょっと興味あるかもしれない人に向けて、どんな作品だったのかをまとめてみる。数年後の自分が読み返したときのためにもまとめておく。

0、なぜ読んでみようと思ったのか

書店の店頭で見たことが直接のきっかけ。新刊発売を10月に控えた2019年夏、店頭フェアとして大きく取り上げられていた。
「よくある異世界転生とかそういう類いでしょ?」なーんて気持ちで買った(ぜんぜん違っていた)。

1、どんな作品なのか

・「十二国」なる異世界での話

舞台は十二の国からなる十二国という世界。われわれの住む地球とはまたちがう摂理の下で動いている世界。そしてその世界はおそらくわれわれの住む日本や中国(だと思われる)場所と実はつながっている。

読んでいてすごいと思ったのは、この十二国という作り上げられた世界観。
ファンタジーなんだから独自の世界を持っているのは普通なのかもしれないけれど、この十二国記の世界を取り巻くシステムには驚く。

不思議な形の地図。その中には十二の国がある。世界の中心にそびえる山の上には神がいて、仙がいて、それぞれの国では麒麟の選んだ王が治める。国民は善き王を望み、平穏な生活を望む。国は王によって良くも悪くも動いていく。
王が傾けば世の中が不穏に満ち、妖魔や妖獣が跋扈し始める。天災が増え、人々の生活は苦しいものに変わる。善き王の統治がそれぞれの国の安穏につながる。王とは絶対的な存在であると同時に、国民のためにならなければ容赦なく天に見放されるようになっている。

王を選ぶ麒麟は特別な存在である。生まれてからしばらくは女仙たちに養われる。時期が来ると王を選ぶ。

生殖面でも大きな違いがあり、生き物はすべて「木」の実として生まれる。産むことはない。子供を望む夫婦はそれぞれの村にある特別な木に願い、そこに実った果実の中に子供が生り、我が子とする。だから女も男も関係なく、仕事をし、要職にも就く。

女仙や麒麟の存在は「ファンタジー」だなぁと思うし、生き物においては、天からの授かりものとして果実扱い。これにはびっくりした。服装はなんとなく昔の中国っぽい感じを想像する。

・色彩豊かな登場人物

多くの国の話が出てくるため、登場人物もそこそこの数になる。にもかかわらず、それぞれの個性ははっきりしている。登場人物の書き分けは描写が細かいから成せるのかなとも思った。主に国王や麒麟が多いが、部下たちや市井の人も出てくる。お気に入りの登場人物を見つけるのも一興。ちなみにわたしは「楽俊」が出てくると嬉しくなる。

・異世界の世界観をゆるぎないものに仕上げている力強い文体

上記の異世界を力強く形作るには、文体も負けてはならないのかもしれないと読みながら思う。小野不由美の文体は十二国の世界観を裏付けるように漢字が多く硬い。細かい描写も多い。名前や地名、物などの説明においても世界観を壊さない。一貫しているからこそ、読者は十二国の世界にどっぷり浸かれるのだろう。冷静に登場人物たちを観察し、突き放すかの如く書かれているのが印象的。

2、どんな内容なのか

・「国とは何か、王とは何か」重いテーマ

北方謙三著『水滸伝』を読んだ時にも感じたことだが「国とはなにか、政とはなにか」そういうテーマがこの作品にもあって、どうしても考えさせられる。なぜこんなにまで人々は生活を右往左往させられるのか、もっと幸せな方法があるんじゃないかと思ってしまう。十二国の場合は、国は亡ぶ方向にはいかないのかもしれないが。それぞれの国が抱える矛盾や問題点などが描かれる。

・生死が頻繁に描かれるため、気持ちが落ち込む場合がある

妖魔との戦いや、戦が描かれる。胸糞悪い方法で殺傷を好む登場人物もいたりするので、そういう血なまぐさいシーンが苦手な人は元気な時に読んだ方がいい。詳細に書き込む文体ゆえに、想像力を直撃して気持ちが凹む場合あり。自分の好きなキャラクターがもしかしたら死を迎える可能性もあって、なかなかその辺りはズーンと沈む。

・恋愛要素はほとんどない

男女織り交ぜて話が展開するので、作品によっては恋愛要素でてきそうだけど、この十二国記においてはそこまで書かれていない。もちろんほのかに匂わせる程度ならばある。しかし恋愛を中心に読みたい人にしてみたら期待はしない方がいい。

・西欧世界のファンタジーを望むなら回れ右

いわゆるドラクエのようなRPGの世界ではない。中国やアジア、オリエンタルな雰囲気に包まれている。魔法や騎士、石畳の街並み、大きな石造りの城を望む人にはおすすめできない。
逆に言うと、そういうファンタジーしか手にしたことのない人にとっては新鮮で面白いかもしれない。
そして異世界転生物ともまた違う話。最初はそう思いながら読んでみたけれど、これはまた違っていた。

3、現在刊行されている作品一覧

『魔性の子』
『月の影 影の海』(上・下)
『風の海 迷宮の岸』
『東の海神 西の滄海』
『風の万里 黎明の空』(上・下)
『丕緒の鳥』
『図南の翼』
『華佗の幽夢』
『黄昏の岸 暁の天』
『白銀の墟 玄の月』(一~四)

今回の書き下ろし『白銀の墟 玄の月』4冊と関連しているのがエピソード0と題した『魔性の子』らしい。蓬莱に一時的に戻っている間の泰麒の話。想像するにきっと重くて読むのがしんどそうだ。購入はしているので、読後感想をまとめる予定。

アニメ化もされているそうなので、そちらもいつか見てみたい。
以上、『十二国記』シリーズについて。

新潮社公式サイト
https://www.shinchosha.co.jp/12kokuki/

Author

ミノル
ミノル
「人生アバウト」をモットーに。
心地よく生きるための改善をすこーしずつカメの歩みのごとく進めているアラフォーです。

主婦業、レビュー(読書、映画、動画)、自分探しなど雑食気味なカテゴリーでブログを書いています。

★ストレングスファインダー:慎重さ・内省・共感性・分析思考・運命思考

★西洋占星術:ネイタル太陽♊、月♐、ASC♏

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